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Chronos日本版

【スペックテスト】 グラスヒュッテ・オリジナル/スポーツエボリューション パノラマデイト

GLASHUTTE ORIGINAL

GLASHUTTE ORIGINAL
SPORT EVOLUTION PANORAMA DATE

ドイツのまじめなダイバーズ

文:イェンス・コッホ(ドイツ版クロノス編集者)/写真:ニック・シュレルツェル/翻訳:市川章子

長らく待ちかねた、ドイツ初の自社キャリバー搭載ダイバーズウォッチがついに登場した。グラスヒュッテ・オリジナルのニューライン「スポーツエボリューション」は、水際に上がったばかりの爽やかな表情を見せている。

○と×:

・大型日付表示機構搭載の自社キャリバーを使用

・バックルが実用性に優れている

×
・文字盤と針のコントラストが弱い

クロノス評価:

・ストラップとバックル(最高10ポイント)8pt.

・操作性(5) 5pt.

・ケース(10) 9pt.

・デザイン(15) 11pt.

・視認性(5) 4pt.

・装着性(10) 9pt.

・ムーブメント(20) 15pt.

・精度安定性(10) 9pt.

・コストパフォーマンス(15) 12pt.

合計82pt.


ムーブメント
ケース裏側は、まつげに縁取られた大きな瞳のようなしつらえ。サファイアガラスの下には、スワンネック緩急針使用のキャリバー31-41が潜んでいる。グラスヒュッテ・オリジナルらしい、美しい仕上がりだ。

新人ダイバー、ドイツより颯爽と登場

 スイス人が水辺や泳ぎから思いつく動物といえば、蟹、タツノオトシゴ、カエル、ペンギン、イカ、クロコダイル、北極グマが挙げられる。イメージの幅が結構あるが、時計に関しても似たようなことがいえるだろう。スイスのマニュファクチュールは泳いだりダイビングするときに使える腕時計を、これまで幾度となく多種多様に生み出してきた。ところがドイツではこれまで事情が少々違っていた。ドイツのマニュファクチュールはもっぱら気品をモットーに展開してきた。クロコダイルストラップとすらりとしたケースがお約束である。しかしながら、このようなフラットなケースは、耐圧性に優れているとは言い難い。


 そんな中、グラスヒュッテ・オリジナルは実用面に目を向けた、スイム・アスレチックモデルを2種類発表した。その名もスポーツエボリューション。同社からはすでに、水深100m防水のタキメーター付きクロノグラフモデルも出ている。だが今回のテストに取り上げた「スポーツエボリューション パノラマデイト」は防水性が2倍となる水深200m、片方向回転式ベゼルと大型日付表示「パノラマデイト」付き。生粋のスイマー/ダイバーモデルの出現と相成ったのだ。


 この腕時計は水の中はもちろん、ヨットハーバーをぶらついたり、海辺のレストランで食事をするときなどのアクセサリーとしても適役である。特にテストモデルのシルバータイプは、筋骨たくましいスポーツマンがスーツでキメる場合にもよく似合う。文字盤、ベゼルともにブラックのタイプもあるが、こちらはよりスポーティなアウトフィットにふさわしい。

ドイツらしさと一線を画すタフなスポーツモデル

 さて、ボディビルは筋肉と体重がものを言うが、このモデルも堂々たる体格だ。ケースの厚さ14・5mm、ケース直径42・5mm、重量は218g。補正パッドなし、肉のみっしり詰まったボディである。とはいえ相撲力士のようにドカンと大きいのではなく、きっちりコツコツと筋肉を作り上げたようないでたちだ。きっちりと計算された無駄のなさは、しなやかなブレスレットと機能的なバックルにも表れている。


 ロゴ入りの留め具は約8mmの可動部分があり、ストッパー付きでブレスの長さもミリ単位で調節可能だ。汗ばんだり、水辺のスポーツで濡れる場合にも手首にしっかり留め着けておくことができ、位置がずれて不快な思いをせずにすむ。これは非常に便利だ。フォールディングバックルはシングルタイプの折りたたみ式。最近はブレスレットの両端からダブルで折りたたむバタフライ式をよく見かけるが、シングル式のほうが取り扱いは明らかに楽だ。外すときはサイドボタンを押すとすんなり開く。ボタンは左右両側から押さないと開かないので、何かの拍子に不意にバックルが開くような心配もない。サイドはラグから続くように、ブレスレットもバックルもサテンで揃えた美しい仕上がりだ。しかしながら、ブレスレットのコマには十分な丸みがないため、手首に装着すると肌が見えるほど隙間が空く場所も出てくる。これでは使用しているうちに汚れが付着してしまい、美観を損ねる可能性がある。


 ともあれ、このザクセン出身の花形スポーツマンには気難しいところはなく、気楽に付き合えるタイプだ。巻き上げはローターにおまかせ、リュウズを一段引くと、ストップセコンド仕様のため、針合わせは秒単位の正確さで行える。リュウズを二段目まで引くと、日付は素早く変えられ、時計をしばらく動かさずに止まってしまったときも、手間いらずで再び着用できる。また、ベゼルは分刻みで設定可能だ。かっちり留まるので、不用意に位置がずれることもない。ベゼルは片方向にしか回らないため、潜水時間の設定がうっかり長くなることはあったとしても、逆戻りして水面への浮上を必要以上に急かされることはないので安心だ。このように、安全面から見ても非常によく出来たモデルといえるだろう。


ケース
明るい場所での視認性にやや欠けるシルバー文字盤&ベゼル。全体的なデザインは斬新ではないものの、幅広いシーンで使える汎用性の高さを持っている。リュウズガードのビス留め箇所や一段下がった裏面のガラスなど、細部にわたる凝った仕上げには、ディテールに対する深い思い入れが窺える。

ブレス、ベゼル、視認性まで実用性に死角はない。

 耐圧性と同様に、ダイバーにとって重要なのは、さっと目を走らせただけで潜水時間を把握できる視認性だ。このモデルは、光の乏しい状態では夜光塗料が時針・分針と4カ所のメインインデックスをよりはっきりと浮かび上がらせてくれる。しかし、明るい場所ではシルバータイプは文字盤のコントラストがベストとは言い難い。この点に関してはブラックタイプのほうがいいだろう。大型日付表示については、日付のケタの間に仕切の枠がない構造が視認性の向上にひと役買っている。ただし、4時と5時の間という位置取りは、見慣れるまではやや不便さを感じてしまうかも。もっとも潜水時には特に必要な表示ではないので、欠点というほどでもないだろう。


 このように、ダイバーズウォッチとして有能なスポーツエボリューションだが、キズ見を通して見ると、各ディテールの仕上げの良さからも優秀さが理解できる。ケース本体はサテン仕上げ、ラグの縁はポリッシュ仕上げ。ベゼルも数字とインデックスはポリッシュでアクセントが付けられている。リュウズガードをビス留めし、シースルーの裏蓋もポリッシュの枠組みをガラスより一段高く据えてビス留めして、ぱっちり見開いた目玉のように仕上げているあたり、細部に凝る思い入れの深さが感じられる。工夫がひときわ冴えているのはこのガラスの裏蓋だ。凹型形状になっているので、肌に貼り付かず快適なのだ。この時計は人間に例えると、水の中では本領発揮、陸に上がっても気配りできる気さくなスポーツマンといったところだろうか。


 ところで優秀なスポーツマンは、運動能力やビジュアルの良さに加えて、内面的な価値も問われるのが常。メンタルな部分がしっかりしていないと集中力が培われず、いいタイムは出せない。これに関してもドイツ初のスポーツスターは、能力の高さが報告されている。連続での着用テストでは日差+2・5秒、検査器では姿勢にかかわらずすべて進みが見られたのみ。遅れが出たポジションはなく、シンクロスイマー並みの揃いの良さを見せた。平均日差は+3・5秒。さらに目をみはるのは姿勢差で+5秒に収まるという素晴らしいデータが出ている。振り角も平置きでは283度と安定した数値となり、垂直状態でも264度とまずまずの結果だった。


バックル
ブレスレットは、長さをミリ単位で調節できるなど、使い勝手の良さを追求した作り。折りたたみやすいシングルタイプのフォールディングバックルは、ストッパーを左右に付けるなど、安全面にも配慮している。

外見だけでなく精度まで文句なしのレベルを確保。

 このデータを導き出したのはキャリバー39-41。ベースのキャリバー39はGUB(共産圏)時代の代表的キャリバーを核にして作られた。スポーツエボリューションでは、同社のニューセネタ・シリーズの一部に搭載されるキャリバー100のように、チラネジ付きテンプの姿を見られないのが少々寂しいが、スワンネック緩急針や21Kゴールドの重り付きロゴ入りスケルトンローター、グラスヒュッテ・ストライプの入った4分の3スケールプレートなど、見どころは盛りだくさんだ。外見も内面も鍛錬されているといった趣。持てばいっそうの「箔」を付けられること請け合いのスポーツエボリューションの登場に、心中穏やかならぬメーカーもいると思われる。


 この優秀なスポーツガイのギャラは89万2500円だ。ダイビングテクニック良し、好タイム保持の信頼できるメンバーを自分の身近に置くというのは、大きなメリットに他ならない。周囲の男たちに断然差をつけて前に出たいなら、価値ある投資となるだろう。

スペック

製造者:
グラスヒュッター・ウーレンベトリープ:Glashutte/Germany

Ref.:
39-42-44-04-14

機能:
時、分、秒(ストップセコンド仕様)、大型日付表示
ムーブメント:39-41(自動巻き、直径32.60mm、厚さ7.00mm)、振動数2万8800/時、平ヒゲゼンマイ、耐震軸受(インカブロック使用)、スワンネック緩急針、スケルトンローター(重り部分は21KYG)、44石、パワーリザーブ約42時間

ケース:
SS製、サファイアガラス(両面無反射コーティング)、シースルーバック(ネジ留め式)、ねじ込み式リュウズ、片方向回転式ベゼル、20気圧防水

ストラップとバックル:
SS製ブレスレットおよびフォールディングバックル


精度安定試験:
(日差 秒/日、振り角)

文字盤上 0

文字盤下 +2

3時上  +5

3時下   +5

3時左  +5

3時右  +4

最大日差 +5

平均日差 +3.5

平均振り角:

水平姿勢 283°

垂直姿勢 264°


サイズ:
直径:42.50mm、厚さ:14.50mm、総重量:218g


価格:
89万2500円

*価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。

記事掲載号

2006年9月号(No.006) 定期購読申込 バックナンバー常設店

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