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Chronos日本版

【スペックテスト】 ロレックス/GMTマスターII

ROLEX

ROLEX
GMT-MASTER II

ゴールドは栄光の証

文:イェンス・コッホ(ドイツ版クロノス編集者)/写真:ニコラウス・シェルツェル/翻訳:市川章子

ロレックスの中でも人気の高いGMTマスターIIは、昨年2005年に登場50周年を迎えた。グリーンダイアルの記念モデルは、自社製造のヒゲゼンマイを搭載。各所の機能が向上した、真の改良型モデルとして登場した。

○と×:

・高精度の一級ムーブメントを搭載

・バックルの仕上がりが美しく、堅牢

×

・コーディネートの幅をせばめる色使い

クロノス評価:

・ストラップとバックル(最高10ポイント) 10pt.

・操作性(5) 5pt.

・ケース(10) 10pt.

・デザイン(15) 13pt.

・視認性(5) 5pt.

・装着性(10) 10pt.

・ムーブメント(20) 18pt.

・精度安定性(10) 10pt.

・コストパフォーマンス(15) 13pt.

合計94pt.


ムーブメント
堅牢で、耐久性と精度に優れたムーブメント。最も機能的なムーブメントとして、多くの時計師から高く評価されている。搭載キャリバー3186には新素材を用いた自社製造のヒゲゼンマイを使用。パラクロームブルーが美しい。

50周年記念モデルに見られる進化の足跡。

 ロレックスからブランドカラーのグリーンを使ったモデルが出るときは、何かしらの記念の年にあたる。2004年のサブマリーナーの発売50周年には、ベゼルがグリーンの記念モデルが発売されている。昨年2005年はGMTマスターIIが50周年を迎えて、グリーンダイアルのゴールドケースモデルが登場した。


 GMTマスターIIの歴史はパイロットウォッチの歴史にリンクしている。1954年にサブマリーナーとエクスプローラーを発表し、プロユースのスポーツウォッチの分野を切り拓いたロレックスは、アメリカのパンナム航空の依頼を受け、翌年パイロットのためのナビゲーションウォッチを発表した。セカンドタイムゾーンを持つ世界初の腕時計、GMTマスターはこうして誕生したのである。このモデルはパンナム以外の航空会社でも公式採用され、NASAの歴史的飛行やミッションの際も同行し、その正確さはパイロットから高く評価されてきた。そしてボーイング707に代表されるジェット旅客機が普及するにつれて、地球上の移動時間も格段に短くなり、コクピットだけではなく客席でも大いに利用されるようになったのである。


 GMTマスターには、ユーザーの要望に応えて当時からすでにゴールドモデルが存在していた。しかし時代の流れとともに少しずつ変化が加えられており、歴代モデルを見比べれば、ロレックスの軌跡を確認することができる。
 1985年に登場したGMTマスターIIは、外見は先行モデルとほとんど変わらないが、12時間表示の時針がセカンドタイム針と連動せず単独で前後に動かせるのが特徴だ。今まではラグのサイドからバネ棒の穴が消える前/消えた後が改良の分岐点だと、コアなファンからは見なされてきたが、この50周年記念モデルのRef.116718LNでは、さらに多くの点で変化が見られ、真の意味での改良型といえるかもしれない。


 今までツインロックだったリュウズはやや大きくなり、サブマリーナーやシードゥエラーと同じトリプルロックに変更、防水性はさらに向上して水深100mとなった。トリプルロックでは、ツインロックよりパッキンがひとつ多く、ネジ皿から巻き真まで4つ使用されている。目ざといロレックスファンはご存じかと思うが、ツインロックはリュウズの王冠の下に横線が入り、トリプルロックではそれが3つのドットになっているのが目印。


ケース
製法と構造に特許を持つ新開発のベゼル。ブラックのセラミック地とゴールドの数字のコントラストが鮮やかだ。数字は一段低くなっているのが分かる。24時間表示の回転ベゼルで、サードタイムゾーンまで容易に把握できる。トラベルウォッチとしても優秀だ。リュウズは大型のトリプルロックに進化した。

細やかな利便性の向上が全体のレベルを引き上げる。

 しかし全く新しくなったのはベゼルだ。今まではベゼル上のインデックスがプリントだったため磨耗は避けられず、アフターサービス時に交換を余儀なくされることが多かったが、このモデルではセラミックとゴールドを使用した特許取得の製法で、傷に強い仕上がりになっている。さらに、位置設定は1時間刻みにストッパーがかかるようになり、異なるタイムゾーンの現在時刻がより確実に確認できるようになった。ベゼル内部の3カ所にピンを組み込んだこのメカニズムでも、ロレックスは特許を取得している。


 ブレスレットにも注目すべき点がある。バックルがオイスター・ロックに変更になったのだ。見た目もスマートでしっかり留まるこの安全ロックシステムは、この価格帯のモデルにふさわしい価値ある仕上がりだ。以前のバックルも機能的ではあったが、時計本体と釣り合っていたとは言い難く、オイスター・ロックシステムの作り込みの度合いとは天と地ほどの開きがある。さらにこのバックルは、片方の留め具裏に、可動式のハーフサイズのコマがたたみ込まれており、外側からは見えずにブレスレットの長さを微調整できるようになっている。暑さや緊張で汗ばんだときには緩め、ダイビングのときなどには手首周りに遊びが出ないようにきっちり留めるなどの調整が手軽にでき、非常に快適だ。


 利便性の良さはブレスレット以外にもある。針合わせをするときも、リュウズを緩めた後は楽に引き出せる。そして12時間表示の時針だけを単独に前後に動かせるのは、大きな利点だ。たいていのダブルタイムゾーンモデルでは、24時間表示のローカルタイム用の針だけがコレクト可能になっているため、その差は大きい。このモデルはGMTを常に把握する必要のあるパイロットはもちろん、トラベルウォッチとしても使い勝手が良い。自国の時間を24時間表示に合わせておけば、旅先でも自国が夕方の4時なのか明け方の4時なのかがひと目で判断できる。
日付表示は時針のように素早い修正がきかないが、時針を後戻りさせると日付も遡るので手間はかからない。日付修正のときに時針の位置がずれるタイプも見かけるが、このモデルはムーブメントの中心の、針の動きを担う箇所にストッパーがかかる構造になっており、日付修正時の針飛びを抑えることができている。


 搭載されているキャリバーは3186。それまで使用されていた3185に手を加えたものだ。ベースになっているのはキャリバー3135。サブマリーナーをはじめ、ロレックスのさまざまなモデルに利用されている。構造的に優れていると、時計師から圧倒的に支持されているキャリバーだ。多くのメーカーはムーブメントを開発するときに細やかさを追求する傾向にあるが、このムーブメントは丈夫で長持ちすることを前提に設計されている。そのうえ、精度も優秀だ。厚みを抑えたアルミの巻き上げ車を使用し、通常ではテン輪の半径までしか押さえないテンプ受けを、直径までフォローするブリッジとして安定性を高めるなど、工夫が凝らされている。そしてマイクロステラ緩急調整システムには緩急針がなく、テン輪の内側に設置された重りで微調整できるため、分解の必要がない。


バックル
バックルはオイスター・ロックシステムにバージョンアップ。時計本体に釣り合った、堅牢な作りだ。バックルの留め具の裏側には可動コマがあり、ブレスレットの長さを切り替えられる。利便性の高い機能である。

新素材のヒゲゼンマイが確かな精度を生み出す。

 そしてこの新キャリバーには、自社製造のヒゲゼンマイが使用されているのだ。ブレゲ・エンドカーブのフリースプラングヒゲゼンマイを自社で製造するというのはセンセーショナルな出来事のひとつだ。自社製造のヒゲゼンマイを使用したモデルは、メーカー多しといえども、ごくごく僅かな数にすぎない。「パラクロームブルー」と呼ばれる色を持つロレックス初の自社ヒゲゼンマイも、製法特許を取得している。これはニオブがメインのハフニウムとの合金。青い色はニオブが空気に触れると発生する、酸化皮膜によるものだ。
 新開発素材のヒゲゼンマイは、鉄とニッケルがメインの合金素材による従来のヒゲゼンマイより耐磁性に優れた特徴を持っている。しかしそれより重要なのは、温度変化に強いため、振動の安定性が高い点にある。ロレックスでは現在シリシウム(シリコン)素材のヒゲゼンマイも開発中だが、ニオブ合金もシリコン同様に、製造工程が簡略化できる長所を持っている。


 テストの結果、自社ヒゲゼンマイの秀逸さが明らかになった。検査器での姿勢差は4秒、平均日差は+1・2秒に収まった。着用テストでは2秒の進みを見せたのみ。これより良いデータは普通まず見られず、「正確なロレックス」の定評を裏切ることのない出来だ。もちろん公式クロノメーター認定証も付いている。
 このモデルの価格は252万円。ゴールドケースとブレスレットの腕時計としては妥当な価格だろう。既存モデルのマイナーチェンジとはいえ、ユーザーから要望が上がる以前に自己鍛錬し、技術的改良を加えているのは、進化をモットーとするロレックスならでは。これは高く評価すべきだろう。今年のバーゼルワールドでゴールドとステンレスのコンビモデルが発表されたのも嬉しい限りだ。


スペック

製造者:
ロレックス:Geneve/Switzerland

Ref.:
116718LN

機能:
時、分、秒(ストップセコンド仕様)、日付表示、セカンドタイムゾーン(24時間表示)
ムーブメント:キャリバー3186(自動巻き、直径28.50mm、厚さ6.60mm)、振動数2万8800/時、ブレゲヒゲゼンマイ、耐震軸受(キフ使用)、マイクロステラ緩急調整システム、31石、パワーリザーブ約50時間

ケース:
18KYG製、サファイアガラス(サイクロップレンズ付き)、スクリューバック、ねじ込み式リュウズ(トリプルロック)、10気圧防水

ストラップとバックル:
18KYG製ブレスレットおよびオイスター・ロックバックル


精度安定試験:
(日差 秒/日、振り角)

文字盤上 +2

文字盤下 +3

3時上  +2

3時下   -1

3時左  +2

3時右  -1

最大日差 4

平均日差 +1.2

平均振り角:

水平姿勢 287°

垂直姿勢 260°


サイズ:
直径:40.00mm、厚さ:12.10mm、総重量:216g


価格:
252万円

*価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。

記事掲載号

2006年9月号(No.006) 定期購読申込 バックナンバー常設店

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