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Chronos日本版

【スペックテスト】 ショパール/ミッレ ミリア グラントゥーリズモ XL クロノメーター

CHOPARD

CHOPARD
MILLE MIGLIA GRAN TURISMO XL
CHRONOMETER

“その他大勢”とは一線を画すために

文:アレクサンダー・リンツ/写真:クリスティアン・シェルク/翻訳:市川章子

「流行しているから」というだけでリリースされる大型ケースは、数多のモデルが流通している市場ではもはや見向きもされない。そんな没個性の傾向にあってなお、燦然と輝く存在感を示したグラントゥーリズモXL。その魅力を支えているのは細部まで手を抜かない仕上げと、信頼性の高い中身にあった。

○と×:

・文字盤の構成が優れている

・仕上げ加工の技術がハイレベル

・精度安定性が高く信頼できる

×

・ムーブメントの表面加工がいまいち冴えない

クロノス評価:

・ストラップとバックル(最大10ポイント) 9pt.

・操作性(5) 5pt.

・ケース(10) 8pt.

・デザイン(15) 13pt.

・視認性(5) 5pt.

・着用性(10) 8pt.

・ムーブメント(20) 13pt.

・精度安定性(10) 9pt.

・コストパフォーマンス(15) 12pt.

合計82pt.


ムーブメント堅牢かつ精度安定性に優れた、ETAの新キャリバー、バルグランジュA07.111。バルジュー7750がベースになっている。堂々たるパワーは、あたかも5リットル8気筒エンジンのような、力強さを感じさせる。

超大型アイドル登場。

 大型かつ特徴がはっきりと出されているメンズウォッチは、もう数がかなり絞られてきたのではないだろうか。そのトレンドはすでに、下り坂へ向かいつつあるともいわれている。それにもかかわらず、エクストラ・ラージサイズの新作モデルの登場は、いまだに後を絶たない。ところが大型であっても、40mmを境にその大きさを越えるモデルのすべてが、納得できる特徴を持っているかというと、なかなかそうは言い難い。その点、ショパールの「ミッレ ミリア グラントゥーリズモ XL クロノメーター」は違う。


 あれよという間に発展したミッレ ミリア・ウォッチは、ショパールのモデルの中でもすっかり定番となったが、そろそろ将来に向けて殻を破る時期が来たようだ。しかしこの新型モデルも、どうせ文字盤の下にはケースサイズよりもかなり小さいETA2829-A2あたりが、太い中詰めリングの中に収まっているのだろう、とタカをくくるのは大きな間違い。家族経営が守られているショパールは、中三針、日付表示付きのETAキャリバー、バルグランジュA07・111を今回初めて採用した。この新時代の自動巻きキャリバーは超大型。ムーブメントのサイズは16 1/2リーニュ、つまり直径37・22mmだ。

ETAの新キャリバーが詰まった、中身も満足できる新型ミッレ ミリア。

 ここでバルグランジュとは何ぞや? という方のために解説しよう。新型キャリバーのバルグランジュは、信頼性の高さでは長年定評のあるバルジュー7750を技術的基盤にしている。バルジューの名は13 1/4リーニュのクロノグラフキャリバー7750が1973年に産声を上げた土地、ヴァレ・ド・ジュウ(ジュウ渓谷)に由来するのは周知のとおり。そして前身の時代から遡ると、創業からまもなく一世紀半を迎える業界最大手のETAは、本社所在地をグレンヒェン(フランス語名はグランジュ)に置いている。つまりバルグランジュとは「バルジュー」と「グランジュ」の融合というわけだ。


 テストウォッチに話を戻そう。ミッレミリア・コレクションのひとつとして、このサイズはまさに適格。スタイルには抜きん出たテクニックの高さが冴えわたる。漆黒の文字盤にがっちりした舟形インデックスを配し、60分表示は間を細かな目盛りで埋め尽くしてメリハリをつけている。大きなペンシル形の時針・分針は白く、秒針の先端は赤。正確に時を刻むメカの誇らしさは“1000 Miglia”のロゴにも表れている。しかし目が引き付けられるのはやはりサイズそのものだ。
大型モデル礼賛派もトレンド分析派も、この「グラントゥーリズモ XL」には圧倒的に高い評価を寄せている。外観、大きさ、厚さ、重さのどれに関しても、異議ありという声は上がってこない。


ケース玉石入り混じる大型時計市場にあって、見た目も中身もこだわりを持ったグラントゥーリズモは、確かな存在感を放つ。

ショパールの仕事ぶりはケチくさいところがなく、気前がよくて好ましい

不満があるとすれば、この「興味深い」モデルを早く目のあたりにしたいという点ぐらいだろう。グラントゥーリズモ XLはいったいいつになったら店頭に並ぶのか、そもそも入荷するのかどうか、長らく明らかにならなかった。そのため巷ではショパール直営ブティックでしか手に入らないとも囁かれたものだった。しかしこれは噂に終わり、現在は他の正規取扱店にも陳列されている。


ところがユーザーの要望に応えられるだけの本数を、ショップが確保できるかどうかという問題はやはり残っている。東欧地区全体を統括するショパール・オーストリアの取締役トーマス・コブルミュラー氏によると、大型モデルに関しては「アイドル的人気」の発生以来、とてつもないほど大量の需要があるという。ショパール・ドイツの担当者もほぼ同意見だろう。


 さて、テストモデルのディテールに目を向けよう。ストラップは、時計本体とのつり合いがパーフェクト。あたかも60年代の魅惑のダンロップタイヤのごとき文様が興味深い。大きく作られたフォールディングバックルも機能的に設計されている。ストラップを含めて164gの巨漢を手首にがっちり留め着けておくにはうってつけだ。ショパールの仕事ぶりはケチくさいところがなく、まことに気前がよくて好ましい。ケースは特に重量感あふれる仕上がりで、リュウズガード付き。直径8mmの大型ねじ込み式リュウズはこれにより、想定される衝撃から守られることになる。

車でいえば5リットル8気筒エンジンのようなゆとりを持った、スマートな仕様だ

 ケースを裏返すと、8カ所ビス留めされたサファイアガラスの底にバルグランジュが鎮座するのが見える。その姿は一見するとバルジュー7750かと思うほどで、出自がごまかされることなく物語られている。ETAはバルグランジュA07・111にベースムーブメントの優れた特性をそのまま与えつつ、シンプルな中三針に転化させている。この新型ムーブメントがいかに堅牢で精度の安定性が高いか、説明はもはや不要であろう。バルジュー7750は2、3の付加機能を持ち得るクロノグラフキャリバーとして需要が高いが、バルグランジュA07・111はパワーをゆったりと集中させたタイプ。車でいえば5リットル8気筒エンジンのようなゆとりを持った、スマートな仕様だ。


 バルグランジュキャリバーはこの中三針、日付表示付きのA07・111の他、A07・161(中三針、日付およびパワーリザーブ表示付き)、A07・211(シングルハンドクロノグラフ、日付表示付き)、A07・171(24時間表示式)がデリバリー可能なラインナップだ。これらはETAの歴史が作り上げた結晶ともいうべきもので、予言するまでもないが、将来的にはバルジュー7750と並んで最高の信頼を寄せられるキャリバー・シリーズとなるだろう。


 ところが、テストモデルに搭載されたムーブメントの表面加工はピュアなままといった趣き。時計全体に合っていないこともないが、いかんせん見た目で魅了される出来とは言い難い。しかし、技術的には興味深いものがある。それは最高技術によるヒゲゼンマイが使用されたことだ。特許取得の特殊な温度管理によって作られるこのヒゲゼンマイは、強い力が加わったときでも変形したままにならないという、高い耐衝撃性が特徴。原価を引き上げること必至のこのパーツは「エタスタブル」と呼ばれる、ニヴァロックス・ファーの製品で、巻き込みの形状もニヴァカーブと称されている。


バックルタイヤのトレッドパターンのようなストラップとブランド名の入ったフォールディングバックル。時計本体とパーフェクトに調和している。

6姿勢のどのポジションにおいても極めて高い精度の安定性がある

 さて、今回のテストモデルはスイス公式クロノメーター検査協会(COSC)のお墨付きだ。電動式検査器では輝かしい結果が出ている。テストをご監修くださった時計師のミヒャエル・ベルナシェク氏により、6姿勢のどのポジションにおいても極めて高い精度の安定性があることが証明された。「進みは5つのポジションで見られましたが、それぞれごくわずか。遅れが出たのは文字盤下のポジションだけで、しかも1秒のみでした。日常的な使用の範囲では、その後の調整が特に必要にはならないと思います」


 着用テスト期間中も日差が2、3秒にとどまる結果だったのは大いに喜ばしい。グラントゥーリズモXLが新星「アイドル」と目されるのは明らかだろう。太鼓判付きのお薦め品だ。見目よく、手首が細くても問題なく着用でき、文字盤の読み取りも完璧。しっかり働いてくれるタフさがあり、それでいてスーツとネクタイの装いにもアクセサリーとしてキメ技にもなる。世に40mmの境界線を越える腕時計は多いが、グラントゥーリズモXLはワン・オブ・ゼムではないモデルなのだ。価格も49万3500円と、たっぷり楽しませてくれる時計として考えるならば、適正といえるだろう。


 さてさて、「大型ウォッチはもう古い」だなんて、いったいどこの誰が言い出したことやら?

スペック

製造者:
ショパール、Meyrin/Switzerland

Ref.:
16/8997

機能:
時、分、秒(センターセコンド式、ストップセコンド仕様)、日付表示

ムーブメント:
ETA製バルグランジュA07.111(自動巻き)、直径37.22mm(16 1/2リーニュ)、厚さ7.90mm、振動数2万8800/時、スムーステンプ、ニヴァロックスヒゲゼンマイ(エタスタブル)、エタシュロン緩急調整システム、片方向巻き上げ式ローター、24石、パワーリザーブ46時間±5%、公式クロノメーター(COSC認定)

ケース:
SS製スリーピースケース、サファイアガラス(両面無反射コーティング)、シースルーバック(サファイアガラス使用、8カ所ビス留め)、5気圧防水

ストラップとバックル:
クロコダイルレザーストラップまたはバレニア革、SS製フォールディングバックル


精度テスト結果:

(日差 秒/日、振り角)

文字盤上  0

文字盤下 -1

3時上   +4

3時下   +4

3時左   +2

3時右   +5

最大日差  6

平均日差 +2

平均振り角:

平行姿勢 294°

垂直姿勢 260°

サイズ:
直径:44.00mm、厚さ:14.25mm、総重量:164g

価格

価格:49万3500円

*価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。

記事掲載号

2006年5月号(No.004) 定期購読申込 バックナンバー常設店

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