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Chronos日本版

【スペックテスト】 クロノスイス タイムマスター ウィズ24アワーディスプレイ

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CHRONOSWISS
Timemaster with 24-hour display

画期的な24時間表示の方法論。

文:ヴィトルト・A・ミヒャルツィク/写真:ロベルト・ラライア/翻訳:市川章子

ひとつの文字盤上で、24時間を分かりやすく表現する。クロノスイスがタイムマスターの新作で取り組んだ問題は、実用性を徹底追求した結果、逆説的に奇抜な外観を持つに至った。一見すると奇をてらったように見えるそのデザインに潜んだ、機能性に対する真摯な姿勢を詳らかにしよう。

○と×

・視認性が高い

・仕上げの加工技術が最高レベル

・リュウズの操作性が良い

×

・SSにしては価格が高額

・ベゼルが留まりづらい

クロノス評価:

・ストラップとバックル(最高10ポイント) 8pt.

・操作性(5) 5pt.

・ケース(10) 9pt.

・デザイン(15) 14pt.

・視認性(5) 5pt.

・装着性(10) 7pt.

・ムーブメント(20) 13pt.

・精度安定性(10) 7pt.

・コストパフォーマンス(15) 12pt.

合計80pt.


0303chro1.jpgベースのユニタスキャリバーをセンターセコンド仕様に変更するため、ブリッジを増築。人目を引くビジュアルの要素のひとつだ。

上下に二分割し、ツートーンに色分けした文字盤

 アイルランドに「神は“時間”を十分なだけ創った」という諺がある。しかしながら、時間は必要なほどには十分にないと感じるのが、現代人の常ではなかろうか。たいていの地上の民は、昼も夜もこま切れの時間に追われているのが実情だろう。妙に時間が足りないような気分になってしまうのは、一日を昼夜二分割し、12時間ずつに区切っているせいなのかもしれない。

 そんな二分割された時間のせわしなさに対抗できるのがクロノスイスの新作、タイムマスター ウィズ24アワーディスプレイなのである。このモデルは、分針は通常どおり60分でひと回りするが、時針は一周するのにまる一日、すなわち24時間かかる。つまり、一般的なモデルの2倍の時間が文字盤上にあるのだ。こうした表示スタイルは、現代の腕時計においては珍しい。何社かは採用しているが、多くのメーカーのカタログをめくっても、24時間表示のモデルはせいぜい十数個といったところ。

飛行機のコクピットに乗り込むような気分

 実際に、24時間表示を本当に必要とするシチュエーションはそう多くはないはずだ。こうした表示方法が本当に必要なユーザーは、昼夜の区別が把握しづらい潜水艦の乗組員や、北極探検隊員といったところだろう。しかし、パイロットや航空ファンなど、一種のノスタルジーからこうした表示方法のモデルを使ってみたいと思う向きもいるのではないだろうか。

 クロノスイスのオーナー、ゲルト・リュディガー・ラングはそのツボをしっかりと押さえている。このモデルはデザインのあちこちに航空飛行の黎明期を彷彿とさせるものがある。例えば、大型の文字盤とコントラストのはっきりした幅広の針は、1920~30年代の、古き良き時代の飛行機のコクピットに乗り込むような気分を味わわせてくれる。

暗い夜中に文字盤を読み取れてこそ、24時間表示の意義がある

 この方式の腕時計をするときは、針の位置が一般的な時計とは違うことを意識しなくてはならないが、クロノスイスのデザインチームはそのあたりもちゃんと心得た仕事をしている。昼間に働く一般的な人々にとって、活動のメインの時間帯である6時から18時は文字盤の上半分に置いてあり、頭になじみやすい。6時から18時の時間帯は黒地に白抜きで数字が描かれており、明るい昼間に時間をすぐに判別できるよう工夫されている。

 一方、夜の時間帯は白地に黒文字。飛行中に日が落ちてあたりが暗くなっても、白地部分が夜光のため、黒い数字ははっきりと読み取ることができる。暗い夜中に文字盤を読み取れてこそ、24時間表示の意義があるのだ。針も夜光塗料を使用した二色使いで、どこを指しているか見間違えようのないほど分かりやすい。

0303chro2.jpgケースから大きく突き出たリュウズは操作性が抜群。手袋をしたままでも楽に動かせる。

きっちりと手を加えた美麗なムーブメント

 文字盤のディテールについては、上下の厚さが揃っていることに留意したい。上半分の黒いペイントも、下半分の夜光塗料と同じ厚みを持たせているのだ。もっとも、数字の6と18に関しては、サイズが上下でピシッと合っていない。厚みを揃えるほどの神経が払われていないのは気になるところだ。

 技術面について触れると、12時間表示のベースに24時間サイクルの機能を付加することは、特に驚くべきことではない。しかし単純な付加のみでよしとはしないのがゲルト・リュディガー・ラングの流儀。ベースキャリバーのユニタス6497-1は本来、9時位置にスモールセコンドを置いているが、このモデルの四番車はがっしりとしたブリッジとその下のカナで中心に据えられている。その結果、ムーブメントは0・9mm高さを増し、キャリバー674の厚みは5・4mmとなった。

 しかもストップセコンド仕様。そして四番車受けには穴石が置かれ、ルビーはひとつ増えて18石。そのうえテンプもスムースからチラネジ付きに替えられており、スワンネック緩急針を使用。ムーブメントを覆うブリッジにはコート・ド・ジュネーブで装飾が入れられ、地板はペルラージュ仕上げ。角穴車と丸穴車はサンバースト仕上げが効いている。汎用キャリバーであろうと、きちんと手をかければ美麗なムーブメントになるという良い例だろう。

実直そのものの各部の仕上げ。姿勢差には気になる点も

 ところで、ロービートということと精度が低いということは、全くの別問題である。テストモデルを検査器にかけたところ、1日平均4・5秒の進みが確認された。手巻きとしては、まあよくあることだ。さらに着用テストでは5秒の進みが見られたが、これもまだ許せる範囲だろう。しかし、眉間に皺が寄ったのは文字盤を上に向けた位置での結果だ。平置き状態では最大日差が12秒と大きく跳ね上がってしまった。これでは、就寝時に腕から外して枕元のテーブルに置く場合、文字盤が垂直になるように傾けて置いたほうがいいということになってしまう。

  ケース内部に踏み込んでみよう。ケース裏のガラスはスムーズに開けることができた。このような細かいところひとつとっても、タイムマスター24 デイ&ナイトの加工レベルの高さがうかがえる。中身の加工も同様な高水準と思って差し支えないだろう。パッキンは溝にきっちり収まっていて、防水性は100mの深水にも耐え得る。肝心のムーブメントはケース内部にほぼぎっしりで実直そのもの。そんな実直さはSSケースの仕上げにも表れている。ふたつのコインエッジリングの上下間をしっかり支えているケース側面は、表面にムラがなく均一な仕上がり。

かなりの振動・衝撃でも、精度に著しい影響はなし

 文字盤側に目を戻そう。ベゼルは少しもつかえることなくなめらかに両方向へ回すことができる。しかしその分、留まりも緩いので、ベゼル上の夜光のくさび形マークは目印として全面的には当てにならないことにご注意を。ラグはフロント面の鏡面仕上げが効いていて、ケースとの調和が取れている。

 ストラップとラグをつなぐカーブした棒は当然のごとくビス留め式。ストラップについているメタルボタンは、ストラップとケースがしなやかに連結するのにひと役買っている。このボタンのおかげで腕からの衝撃が緩和され、デリケートなムーブメントに対する負担が少ないようになっている。シンプルかつ、よく考え抜かれたシステムといえるだろう。テストモデルは着用テストの間もマウンテンバイクの走行によって、かなりの振動・衝撃にさらされたが、結果的に精度に著しい影響は出なかった。

0303chro3.jpg文字盤の下半分は地が夜光仕上げ。停電などいざというときでも視認性を確保できる。

長く寄り添い楽しませてくれる人生の友となるであろう

 この時計でひときわ目を引くのは、ケースからドンと突き出た玉ネギ形リュウズだ。リュウズの根元にパイプがあり、ケースとの間が開いて余計に横幅が出てしまうが、操作性の良さに関して、このモデルの右に出るものはまずないだろう。

 もっとも、ケース直径は44mmだがリュウズでプラス10mm以上の幅が出るため、時計を巻いた左手首を不意に上向きに曲げると、リュウズが手の甲に当たって煩わしく感じることもある。この点を除けば着用性は非常に良い。ただし、この時計は直径に比例して厚みも大きく12mmを超えるため、シャツの手首回りにゆとりがない場合、時計がスマートに隠れず気になるかもしれない。

 タイムマスター ウィズ24アワーディスプレイの大きさは単に24時間表示のためだけではなく、それ以上の意味を持っているのだ。独特の粋なデザインと丁寧な仕上げ、心理的にもよりゆったりした時間をもたらすこの腕時計は、長く寄り添い楽しませてくれる人生の友となるであろう。


スペック


製造者:
クロノスイス、D-80999 Munchen,Germany


Ref.:
CH 6433 DN


機能:
時(24時間表示)、分、秒(センター式、ストップセコンド)


ムーブメント:
Cal.674(ベースキャリバーはETA/Unitas6497-1)直径36.60mm、厚さ5.40mm、振動数1万8000/時、チラネジ付きテンプ、スワンネック形緩急針、耐震軸受け(インカブロック使用)、18石、パワーリザーブ約48時間


ケース:
ステンレススチールケース(パーツ数22個)、ねじ込み式リュウズ、片面無反射コーティング風防(サファイアガラス使用)、回転ベゼル、シースルーバック(ねじ込み式。片面無反射コーティングサファイアガラス使用)、ストラップの通し棒はネジ留め式(オートブロックシステム)、夜光部分はスーパールミノヴァC3使用、10気圧防水


ストラップと尾錠:
クロコダイルストラップ、ステンレススチール尾錠。カーフタイプは長さの延長が可能

精度テスト結果

(日差 秒/24時間、振り角)

文字盤上 +12

文字盤下 +5

3時上  +3

3時下  +2

3時左 +8

3時右 -3

最大日差 15

中間日差 +4.5

中間振り角:

水平姿勢 313゜

垂直姿勢 297゜


サイズ:
直径44.00mm、厚さ12.30mm、総重量100g


特記事項:
付属品としてスペアパーツがセットになっている(テン真、巻き真、ヒゲゼンマイ、ケース内パッキン1点、リュウズパッキン3点)

価格&問い合わせ

57万7500円

*価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。

記事掲載号

2006年3月号(No.003) 定期購読申込 バックナンバー常設店

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