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Chronos日本版

【第1特集】 2008年7月号(No.17)2008年の新作から見えてきた躍動と迷走

BASEL WORLD 2008  X  S.I.H.H.&OTHER SHOWS

BASEL WORLD 2008 × S.I.H.H.&OTHER SHOWS

奥田高文、奥山栄一:写真 広田雅将、古川直昌(本誌)、鈴木裕之(本誌)、鈴木幸也(本誌):取材・文

毎日、隣国ドイツのフライブルク駅から午前8時2分に発車するICEに飛び乗り、約40分後にバーゼル駅に到着する。ここから歩いて7~8分でバーゼルワールドが開催されているメッセに辿り着くのだが、ある日、駅構内に吊り下げられている巨大な銀色のミラーボールが目に入った。上方の天窓から入る淡い光しか受けないため、反射光は天井にしか届かない。夜の帳が降りると、もちろん用を成さない。このミラーボールを現代美術のインスタレーションと解釈すれば存在意義もあるのだろうが……。このミラーボールの残像が、ジュネーブに移動してからもずっと頭の片隅に残っていた。

高級時計は元来、全方位的にアピールする類のものではなく、限られた趣味人の嗜好品であった。いわばバーゼル駅のミラーボールのごとき存在だ。この文脈を使っていけば、加速度的にトイ・ガジェット化する一部の複雑機構も、立体的な3次元ダイアルも、ニューマテリアルも、新型脱進機も、次々と行われる価格改定もすべて説明がつく。しかし、スイスやドイツの多くのメゾンは、すでにマスマーケットに両足をずっぽり突っ込んでいる。さらなる増産を目論むメゾンも数多い。トライ&エラーを実製品で行って許してくれるほど消費者は甘くないし、現実離れした複雑機構に散財できるほど、多くの人間は理性を失っていない。

どうか、自社のスタンスドットを明確にして、ゆったりとしたペースで真摯な時計作りに邁進していただきたい。R&D部門のリードタイムをできる限り長めにとって。1年に数本の良質な新作を発表できればそれで十分ではないか。

つづきは『クロノス日本版』2008年7月号(No.017)でお楽しみ下さい。

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