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Chronos日本版

【ムーブメントから見たクルマ選び】 ポルシェ ケイマン S

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PORSCHE Cayman S

妥協とは無縁。
確かな存在感を放つ
独の新たなキャラクター

文:鈴木 明 写真:佐藤靖彦

SUVモデルのカイエンが驚異的なセールスを記録し、4ドアスポーツクーペの新規車種パナメラやハイブリッドモデルの開発など、途切れることなく話題を提供するポルシェ。ボクスターをベースに911並みの性能を享受したというケイマンSとはいかなるものか?


070521mp1.jpgミッドシップにマウントされたケイマンSの新開発エンジンは、シリンダのボア(口径)が911カレラと同じ96mm、ピストンのストロークはボクスターと同じ78mm。つまり、ショートストローク設計である。このためパワーの立ち上がりが良く、911以外で初搭載となったバリオカム・プラスとあいまって、低速域から実にトルクフルだ。もちろん、4400rpmから6000rpmという広い回転レンジで最大トルクが発揮されるため、高速走行に突入してからも走行性能に不満を感じることはない。

塊から削り出したようなボディの剛性感

 ボクスターのクーペ版。そう高をくくっていたのは大きな誤りであった。確かにケイマンSは、ボクスターをベースに開発されたモデルだ。ボクスターと911の間を埋めるために誕生した経緯から判断して、キャラクター的に中途半端というか、特徴を見い出しづらいモデルなのだろうと、実は考えていたのだ。


 ところがコクピットに収まり、100mも走り出さないうちに、その認識が誤りだったことに気付かされる。塊から削り出したようなボディの剛性感、しなやかにして締め上げられたサスペンション、むしろボクスターよりも911に近いパワーフィール。そこにはスポーツカーに必要不可欠なあらゆる要素が、凝縮されていたのだ。


 これまで、歴代の新型911のステアリングを握るたびに伴った驚き。ケイマンSでも同じ感覚が甦ってくる。よくよく考えてみれば、ポルシェの仕事である。手抜きや妥協があるわけがない。結論から言えば、ケイマンSのキャラクター付けは、しっかりと成されていた。


070521mp2.jpgインテリアカラーと同色のレザーがあしらわれた3本スポークのステアリング。エルゴノミクス・デザインの室内はシンプルながら、ドライバーの意のままに操作が可能なように、スイッチ類が集中的に配置されている。

911にも劣らない確かなパワー感と刺激的な加速

 試乗車はオプションで設定されているPCCB(ポルシェ・セラミックコンポジット・ブレーキ)を装備した6速MT仕様だ。標準のフロント318mm、リヤ299mm、ドリルホール付きベンチレーテッドディスクブレーキに対して、350mmという大径セラミックローターを備える、軽量なこのブレーキシステムは、ドライバーのスキルなど関係なく、有無を言わせぬブレーキパワーを発揮する。低速度域から効きがよく、特に200km/hオーバーからの強大な制動力は目を見張るものがある。もともとブレーキ性能には定評のあるポルシェだが、PCCBを得たケイマンSは日常走行の領域では一切、根を上げることがない。


 5速ティトロニックSを選ぶことができるケイマンSだが、6速MTを操ることで得られるドライビングプレジャーは、かなり刺激的だ。1速、2速、3速…最高回転数に近いところまでフルフラットでアップシフトしていくと、その加速感はボクスターではなく、911のようなフィール。


 エンジンは、ボクスターの3・2Lユニットをベースに、排気量を3・4Lまで高めたものだが、シリンダーヘッドは911カレラと同じであり、ボクスターには搭載されていないカムシャフト/バルブリフト調整システムのバリオカム・プラスによって、295psの最高出力と34・7kgmの最大トルクを発揮する。パワーではボクスターSの280psと911カレラの325psの中間に位置するわけだが、911と同じこの可変バルブコントロールの存在が、911に近い特性を感じさせる要因となっている。


070521mp3.jpg水平対向エンジンの特性である低重心、そして、エンジンを車両の中心部にセットすることによる理想的な重量配分で、敏捷性に優れた運動能力を披露。ワインディングを俊敏に走るほうが似合うクルマだ。

ワインディングで本領を発揮する卓越した運動性能

 さらにケイマンSの潜在能力を引き出したいというドライバーのためには、スポーツ・クロノ・パッケージが用意されている。これは、チューンアップされたエンジン特性マップと制御コンセプトによって、極限領域での性能をさらに高めることができるパッケージだ。


 一方、パワーフィールに関しては、911寄りではあるが、エンジンがリヤアクスルよりも前、ドライバーシートのすぐ後方にミッドシップマウントされているため、走行性能は同じ方式のボクスターのそれに近い。だからコーナーが楽しい。ノーズは素直に行きたい方向を向いてくれるし、思ったとおりにラインをトレースしてくれる。標準装備のPSM(ポルシェ・スタビリティ・マネージメントシステム)や、スプリング/ダンパー/スタビライザーともにボクスターより固めにセッティングされたサスペンションに加え、オープンボディのボクスターとは異なり、ルーフがある分、より締め上げられたボディ剛性によって、一瞬、どこまでも攻めていけそうな感覚を抱かせるほどだ。


 またオプションのPASM(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメント)なら、車高が10mm下がり、ボタンひとつでダンパー特性を変化させることが可能で、スポーティな設定を選べば、横Gの限界にも挑むことができる。


 911のエンジンフィールと、ボクスターをブラッシュアップさせたシャシー性能。両モデルのいい部分をインテグレートさせたモデルこそが、ケイマンSなのである。


スペック

●Engine Spec.
・型式 水平対向6気筒 4バルブ
・総排気量 3387cc
・最高出力 295ps/6250rpm
・最大トルク 34.7kgm/4400~6600

●Body Spec.
・ステアリング 左
・全長 4340mm
・全幅 1800mm
・全高 1305mm
・ホイールベース 2415mm
・トレッド前 1486mm
     後 1528mm
・駆動方式 MR
・ミッション 6速MT
       5速ティプトロニックS
・車両重量 1380kg(6MT)
・乗車定員 2名


価格&問い合わせ


車両本体価格=777万(MT)819万(ティップトロニックS)

※価格は記事掲載時のものです。


問い合わせ=ポルシェ・ジャパン 0120-846-911
http://www.porsche.com/japan/

記事掲載号

2006年5月号(No.004) 定期購読申込 バックナンバー常設店

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