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Chronos日本版

【ムーブメントから見たクルマ選び】 メルセデス・ベンツ Sクラス

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MERCEDES-BENZ S-Class

ラグジュアリーという顔の下に隠した、
確かな走行性能。

文:鈴木 明 写真:佐藤靖彦

世界中のエグゼクティブ・サルーンを愛する人々に支持され続けてきた王者は決してその玉座を譲る気はない。最新のテクノロジーと電子デバイスで武装し、新型を大きくブラッシュアップさせてきたのである。



070521mb1.jpgS600が未導入であるため(※記事掲載時点。現在は導入済み)、V型12気筒の設定は今後になるが、新開発の5.5LV8ユニットでも、パワー的には必要にして十分。6000rpmで387psの最高出力、2800~4800rpmというワイドレンジで54.0kgmの最大トルクを発するこのV型8気筒エンジンは、吸排気のバリアブルバルブタイミング機構を備えたDOHC4バルブ。環境性能も優れており、日本の平成17年排出ガス基準75%低減レベル認定で4星を獲得し、低エミッションも実現。また電子制御7速ATの恩恵で、変速ショックがないばかりか、細かなギヤチェンジにより低燃費性にも優れる。

進化の度合いは予想を遙かに超える

 頂点は、立ち止まらない。
これは、新型メルセデス・ベンツSクラスに与えられた、キャッチコピーのひとつである。


 確かに歴代のSクラスは、走行性、安全性、快適性、環境適合性に対して常に高い評価を受け、エグゼクティブ・サルーンのベンチマークとして、半世紀以上にわたり、頂点に君臨し続けてきたモデルだ。とはいえ現在、ライバルたちの台頭によって、以前のようなひとり勝ち状態からは一変し、厳しい競争下に置かれているのも事実。まさにこのキャッチコピーは、それを意識し、頂点であり続けることへの決意表明と受け取れるものであり、さらにメルセデスの新型Sクラスに対する揺るぎない自信の表れそのものでもある。


 結論からいってしまえば、進化の度合いは予想を遥かに超えるものであった。旧型をすべての面で凌駕しなければならないのは、どのモデルでも当然の話だが、Sクラスはそれだけでは十分でないことを、メルセデスはよく認識している。このモデルは圧倒的なトップクォリティでなければ許されないことを。


 今回試乗したS500ロングは、5205㎜という大きな体躯から、フラッグシップモデルとしての存在感、また洗練されたフォルムに表現される押し出しの強さを放っていたが、実は何よりも進化を感じさせる部分は、そのボディが内包する最新技術の数々だ。


070521mb2.jpgメーターセンター部(速度計が表示されている部分)はモニターが埋め込まれており、ヘッドライトスイッチ横のナイトビューアシストスイッチを押すと、そこに前方150mまでの歩行者や自転車、障害物などが映像として映し出されるようになっている。

安全性能のための注目すべき最新デバイス

 そのトピックスは枚挙にいとまがないが、注目はプロ・セーフ(PRO-SAFE)と呼ばれる新たな安全コンセプトである。具体的には、雨天時にブレーキディスクとパッドの間隔を周期的に調整することでディスク部の水膜を除去し、制動距離を短縮してくれる“アダプティブブレーキ”や、夜間時に最大150m先の歩行者・自転車などを赤外線でとらえ、メーター内にあるモニターに映像化してくれる“ナイトビュ-アシスト”、ステアリング切れ角と速度に連動して、最大12度までヘッドライトの照射軸を可動させる“アクティブライトシステム”、コーナー内側を自動的に照らしてくれる“コーナリングライト”など、ドライビングをより安全にするために、サポートしてくれるデバイスのことを指す。さらには、事故時に燃料漏れによる車両火災を防ぐための燃料のカットオフ機能や、乗員救出の際にボディ切断の必要が生じる状況を想定して、切断ポイントのマーキングまでしてある徹底ぶりだ。


 これらの技術は、長年にわたり本社があるドイツのシュッツトゥガルト近郊で発生した、メルセデス車による事故のデータを収集・分析し、それに対応するための技術開発を重ねてきた結果、生み出されたものだ。こうした取り組みがメルセデスの大きなアドバンテ-ジなのはいうまでもない。これらのリアルなデータに基づいて開発された説得力のある最新技術が、Sクラスには存分に与えられているのである。


070521mb3.jpg先代に比べ、全長で+30㎜(ロングは+40㎜)、全幅で+15㎜、全高で+40㎜ものサイズアップを果たした新型。ホイールベースは+70㎜(ロングは+80㎜)も延長され、室内空間、特にリヤパッセンジャーの足元は非常に広い。

巨体を一瞬にして躍動させる圧倒的な加速感

 数あるSクラスの魅力のひとつである走行性においても、一切の妥協はない。新開発された5・5LV8ユニットの牽引力は、組み合わされた電子制御7速オートマティックとの相性も抜群。特に4000rpm~5000rpmは、実にトルクフルなレンジで、7速ATのモードを“S(スポーツ)”にすれば自動的に車高が15㎜下がるため、路面に張り付いたように抜群のスタビリティを発揮しながら、圧巻の加速をしてくれるのだ。それはまさに5mを超えるボディ、2060kgの車重というネガティブなスペックを忘れてしまうほどの瞬間である。


 そしてエクゼクティブ・サルーンにとって重要な要素となる快適装備は、この手のモデルに乗り継いできたオーナーでさえ驚きを隠せないほど充実している。操作を覚えるのに時間がかかりそうだがナビやオーディオなどの機能を思いのままにコントロールできるコマンドシステムを筆頭に、マッサージ機能やリクライニング機構付きのリヤシート、14スピーカーによる7・1チャンネルのハーマン・カードン製サラウンドシステムなど、自宅のリビングにいるような空間演出がなされている。


 頂点は、立ち止まらない。新型Sクラスが今後も、エクゼティブ・サルーンのベンチマークであり続けることを確信させられる試乗であった。

スペック

●Engine Spec.(S500)
・型式 DOHC V型8気筒
・総排気量 5461cc
・最高出力 387ps/6000rpm
・最大トルク 54.0kgm/2800~4800

●Body Spec.(S500 long)
・ステアリング 右/左
・全長 5205mm
・全幅 1870mm
・全高 1485mm
・ホイールベース 3165mm
・トレッド前 1605mm
     後 1605mm
・駆動方式 FF
・ミッション 7速AT(7G-TRONIC)
・車両重量 2060kg
・乗車定員 5名

価格&問い合わせ

車両本体価格=987万~1396万5000円

※価格は記事掲載時のものです。


問い合わせ=ダイムラー・クライスラー日本 0120-190-610(メルセデスコール)
http://www.mercedes-benz.co.jp/

記事掲載号

2006年7月号(No.005) 定期購読申込 バックナンバー常設店

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