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Chronos日本版

【ムーブメントから見たクルマ選び】 フェラーリ F430スパイダー

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Ferrari F430 SPIDER

日常への融合・離脱を自在にこなす、
跳ね馬のモダンスタイル

文:鈴木 明 写真:佐藤靖彦

F430スパイダーはクーペモデルの登場から約半年後にリリースされた、日常と非日常を兼ね備えた最新モデル。これまでのオープンカーの概念を覆すまでに高められた性能を官能的なボディで包んだ最上のマシーンである。


マセラティ・クーペなどに搭載されているV8ユニット(フェラーリが開発と製作を担当)をベースに、ストロークを1mm拡大させることで排気量を4308ccにスープアップ。可変バルブタイミング機構の採用やチェーン式のカムシャフト駆動、4バルブ化を図るなど、エンジン自体は先代の360モデナとは全くの別物になった。最高出力は490ps、最大トルクは47.4kgmまで高められ、先代比でプラス90ps&9.4kgmのエクストラパワーを得るに至る。わずか4kgだが軽量化も達成されており、エンジンの搭載位置を15mm下げ、コーナリングでの安定感を向上させた。

F1を操っているかのような錯覚

 フェラーリとの対峙は、果たして何度目だろうか。
 いつも不思議に思うのだが、その瞬間を幾度迎えようとも、私のモチベーションが変わることはない。緊張感に苛まれながらも、期待感で満たされるのである。F430スパイダーを目前にしても、その想いは同じだ。自分のドライビングスキルを許容してくれるのか、どんな世界を見せてくれるのかという緊張感と期待感。そしていつものように高揚した気持ちを抑え込み、F430スパイダーのコクピットに収まってみる。


 エンジンを始動するには儀式が必要だ。ブレーキを踏み、パドルシフトを左右同時に引き、ギヤがニュートラルポジションにあることを確認して、スタータースイッチを押す。即座にV8エンジンに火が入るが、オープン状態で聴くエキゾーストノートは、衝撃とともに、さらなる興奮を呼び覚ます。そして、このサウンドはオンロードに出てこそ、その本領を発揮する。レブリミットの8500rpmまで回せば、F1を操っているかのような錯覚すら覚える。


本革張りのダッシュボードにはカーボンパネルが組み込まれ、高級感とスポーティテイストを同居させている。パドルシフトで変速するF1マチックはF430を購入する9割のユーザーが選ぶ。エンジンスターターはステアリングに配置。

最新デバイスによる扱いやすい高性能

 走り出してみての第一印象は“意外”かもしれない。乗り心地が実にしなやかで、快適なのである。ルーフレス状態での風の巻き込みもほとんどないので、オープンエアの爽快感と開放感は非常に高い。こうした部分に、フェラーリがもはや非日常的な性能偏重主義者でないことが伺えるだろう。


 F1マチックにはATモードが搭載されているし、ボディの取り回しもしやすい。一般道など、日常での扱いやすさを兼ね備えているのだ。それでも、高速道路などで一度アクセルを踏み込めば、そこからは一変し、非日常に突入。シームレスに湧き上がるパワーが全ての景色を一瞬にして置き去りにする。


 また、ワインディングでは電子制御ディファレンシャルのEデフがその効果を発揮してくる。左右輪のトルクバランスを最適化してくれるため、ドライバーはその介在に気付くことなく自分が上手くなったように感じてしまうほど。だからハイスピードでも狙った
ラインをトレースできるのだ。


360モデナのシルエットを残しながら、円柱型のリヤテールライトや独立したリヤメッシュグリルのテイストなどエンツォ・フェラーリのデザインモチーフを盛り込んだ外観。美しいオープンデザインはピニンファリーナの仕事だ。

「360を洗練させた」といったレベルではない

 このEデフと連動して制御されるのが、F1マチックである。スタビリティデバイスのCSTともリンクしており、490psを安全かつ的確に路面伝達しながら、瞬時にシフトチェンジを完了させ、類稀なパフォーマンスを引き出す原動力になっている。さらにステアリングに設置されたマネッティーノは、これらの電子デバイスのセッティング、例えばCSTの介入タイミング、ショックアブソーバーの減衰力調整などを走行モードによって切り替えることができるシステム。ドライバーは5つのモードから任意の走行性能を選択できるのである。


 F430スパイダーの運動性能は、「先代の360をより洗練させた」といった低レベルのものではない。大抵のオープンモデルに感じるボディの緩さなどは皆無。そして、その卓越した運動性能と斬新なスタイルによって、日常と非日常を自在に行き来することができるのだ。

スペック

●Engine Spec.
・型式 V8DOHC32バルブ
・総排気量 4308cc
・最高出力 490ps/8500rpm
・最大トルク 47.4kgm/5250rpm

●Body Spec.
・ステアリング 右/左
・全長/全幅/全高 4521/1923/1234(mm)
・ホイールベース 2600(mm)
・トレッド前/後 1669/1616(mm)
・駆動方式 MR
・ミッション 6速F1マチック
・車両重量 1520(kg)
・乗車定員 2名

価格&問い合わせ

車両本体価格=2228万1000円(MT)2354万1000円(F1マチック)

※価格は記事掲載時のものです。

問い合わせ=コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド 03-5730-1655
http://www.cornesmotor.com/

記事掲載号

2006年1月号(No.002) 定期購読申込 バックナンバー常設店

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